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心のトラブルというものは、一人ひとりの心の中にあるものであり、体の怪我のように、外から見てはっきりとわかるものではないだけに、まわりの人から見れば、確かにさしてなんでもないことのように思われてしまうことが少なくないのですが、ご本人が「おかしい」と自覚するものがある場合、臨床心理学の領域では、必ずそこに解決すべきものがあることは間違いありません。まわりの人、一般の人はこのことを充分に理解しておられず、決して悪意からではないのですが、そんなことはたいしたことではない、というように考えてしまいがちなのは、確かに残念なことです。 それにまた、人間の心というものは、一人ひとりがそれぞれかなり異なった世界をもっています。客観的な世界そのものとは次元の違う、もともときわめて個人的なものなのですから、あなたの今の心の状態を別の人間の心の尺度でとらえて、批判したり、叱咤激励しても、きちんとかみ合わなくなってしまうのは当然のことなのです。 心理臨床の専門家として私達は、相談される一人ひとりの心の世界の違いをまず大切にしますし、あなたの心に感じることのすべてを、こちらの一方的な基準で簡単に推し量ったり無視したりせず、充分尊重することから始めます。なぜなら、そうすることで初めて、あなたの心の世界をきちんと理解することができるものですし、あなたとのよい信頼関係も結べるからです。そしてまた、その結果、望ましい解決があなたにもたらされることを、私達は長い経験から確信しているからです。