アイ・アンド・ユーの母体である、ヒューマン・グロウス・センターでは、かつて「現代催眠入門」(教育メディア1993年)という一般向けの本と、「無意識を活かす現代心理療法の実践と展開」という専門家向けの本を出版しました。(星和書店2005年/多数の精神科医や臨床心理士が参加、執筆しています) いづれも、催眠療法についての本ですが、いままでこのホームページでは催眠についてはあまり触れてきませんでした。催眠は私達が用いている多くの臨床心理学的技法の1つにしか過ぎないので、特に強調はしなかったのです。また、卓越した医療催眠、臨床催眠を構築した精神科医のM.エリクソンの功績によって、現在の心理療法の世界ではすでに充分な定評も得ているからです。 一方、催眠という言葉には、一般にはまだ誤解もあります。 誤解は大きくわけると2つあるようです。 <第1の誤解> 1つは、催眠がマインドコントロールの技法のように思えて恐い、というものです。これはTVの「催眠術」を扱った番組の影響があるようです。TVの番組では催眠術の施術者の指示に従いやすい特性をもった人を被術者にしておもしろおかしく演出して番組が作ってあります。 芸能人やプロスポーツ選手が被術者になっている場合が多いようです。このような人たちは、目立つことや、人に注目されることを好む外交的な性格の人が多いので、催眠術的な指示(「手を叩くと、あなたは踊りだす。」というような指示)になじみ易い傾向があります。 < 第2の誤解> もう1つの催眠への誤解は、催眠療法が他の臨床心理学的技法に比べて魔術的な効果があるという考えです。この誤解のせいで不登校の子どもを持つ親御さんに「この子に催眠をかけて学校へ行かせてください。」と懇願されることもあります。 実は、洗練された効果的な臨床心理学的技法は、催眠療法と相通じる技法になっていることが多いのです。というのは、催眠療法は、無意識(意識できない心の深い部分)とコミュニケーションすることに特化した技法なのですが、他の臨床心理的技法も効果をあげている時は、無意識への有効な働きかけとなっているからです。このあたりのことは、「無意識を活かす現代心理療法の実践と展開」を読んでいただくと、よくわかります。
私達の相談室では、催眠とは、人と人との深い交流の中で起こる変性意識状態(日常とは違う意識状態)ととらえています。そして、催眠導入の前の話し合いのなかでも、既に催眠療法は始まっていると考えているので、充分な話し合いを重視します。 また、カウンセリングや心理療法全般を深く理解し、適切に活用しているなかでこそ、臨床催眠の特別な技法も初めて有効性を発揮すると考えます。 さらに、問題や症状を完全に早く改善したい!との強い願いのなかで、催眠技法も、ほかの相談所とは違う工夫ができているのではないかとも思います。 残念なことに、催眠療法やヒプノセラピーを標榜する相談所の中には、臨床心理学の基礎知識や技能を持たない人がやっているところもあるようです。 他の相談所との違いは、「百聞は一見にしかず」ということばどおり、実際に体験していただくとわかっていただけるでしょう。