悩みの解決に無意識の心を活用する【アイ・アンド・ユー】

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悩みの解決に無意識の心を活用する

                     

無意識の心と不登校

 不登校のお子さんについて相談に来られたお母さまが次のようにおっしゃいました。
「うちの子が不登校になったのは、学校へ行きたくないからだと思います。行きたいという気持ちがあったら行けるはずです。でも、そう子どもに言うと口論になってしまいました。」
 これを聞き、私は次のように言いました。
「お母さまの考えはよくわかりました。ところで、唐突な質問で恐縮なのですが、お母さまは恋愛結婚をなさったのですか?」
 お母さまはキョトンとして答えてくださいました。
「はい、そうですけれど・・・・」
 私は続けて、ご両親の結婚前のおつき合いの様子を詳しく聞いたあと、次のように尋ねました。
「恋愛感情は意識的にコントロールできますか?」
 お母さまは、
「確かにコントロールするのが難しいですね。」
 そこで私は、人には意識的にコントロールするのが難しい感情や生理的な反応や行動があることを説明しました。そしてそれらの背後には、自覚できていない心の働きがあり、「無意識の心」と呼ばれていると解説しました。
「お子さんは、意識の心では学校へ行かなきゃ、と思っていても、無意識の心がブレーキをかけているということもありえますよ。」
と言うと、お母さまは納得してくださったようでした。

無意識の心は悩みのもと?解決の鍵?

 無意識の心について詳しく解説すると、かなりの量になってしまいます。私達の書いた「無意識を活かす現代心理療法の実践と展開」には、詳しい説明がありますが、ここでは簡単に解説します。
 まず、無意識の心の定義にはいろいろありますが、前述のように自覚できていない精神活動を無意識の心と幅広く捉えています。

 歴史的には、無意識に関して心理学的な理論化を行った先駆者の一人は、ジークムント・フロイト(1856-1939)です。フロイトの理論(精神分析学)では、直面したくない願望やトラウマ(心的外傷)などが意識的な精神活動から締め出されて、無意識の構成要素となります。そしてそれがうつ不安、パニック強迫性障害などの心身の症状の原因になると指摘しました。いわば、無意識を<悩みのもと>と考えた訳です。

 一方、現代の心理療法や催眠療法に多大な影響を与えた、ミルトン・エリクソン(1901-1980)は、無意識の心を過去の学習と記憶の保存されている領域とみなしました。また自覚しないうちに賢明な選択をさせてくれる部分ともとらえました。そして、無意識の心には、悩みの解決の鍵が眠っていると考えました。

   

私達は無意識の心をどうとらえているか

  私達の心理療法では、エリクソンと同様に無意識の心の中に、悩みの解決の鍵を見い出そうとします。そして、無意識の心の持つ肯定的側面を重視します。フロイト的な無意識のとらえかたも否定する訳ではありませんが、より早く安全に悩みの解決をめざすためには、エリクソン的立場のほうが勝っていると考えています。

 最初に書いた不登校の場合も、私達は無意識の中にある不登校の原因を探求するという立場はとりません。無意識の心はその家族を以前よりいっそう健全な状態に向かわせようとしているとみなします。事実、不登校が解決したあと、前よりその子らしい生き方ができるようになったり、家族内の人間関係がよくなった例を多数経験してきました。
 うつ不安、パニック対人恐怖、視線恐怖強迫症状などでも、無意識の心の持つ肯定的側面を重視した方が無意識的な原因探求をするより迅速な改善が目ざせる場合が多いと考えています。

  


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