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| ◇ うつ(鬱)の薬物療法 ◇ |
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画期的な抗うつ薬?
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1990年にアメリカの週刊誌「ニューズウィーク」表紙を薬のカプセルの拡大写真が飾りました。おそらく、これ以前も以降も薬がニューズウイークの表紙に載ったことはないでしょう。薬の名前はプロザック。アメリカで1988年頃から使われ始めた抗うつ薬です。
その号では、「プロザックの約束」と題した特集が組まれました。プロザックはうつを治すだけではなく、性格も明るく外交的に変えるという内容で、服用している人の礼讃の声が載せられていました。
アメリカでのプロザック・ブームをうけて、日本でもテレビや雑誌がプロザックのことを報じるようになりました。
当時はプロザックが性格までも変えてしまう薬なら、カウンセリングや心理療法にとって変わるのではないかと心配したカウンセラーもいたようです。それほどまでに当時の報道ではプロザックは画期的な薬として宣伝されていたのでした。
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プロザック以降の薬
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プロザックはSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害剤)と呼ばれる薬に属します。プロザックの販売以降アメリカでは、ルボックス、パキシル、ゾロフト、セレクサ、レクサプロなど新たなSSRIが開発され、市場に出ました。
日本では、1999年にルボックス、デプロメール(この2つは販売している会社が異なるので名称が違いますが、同じ物質です)2000年にパキシル、2006年にジェイゾロフト(ゾロフトの日本での商品名)が厚生労働省の認可を得て患者さんに処方されるようになりました。
プロザックは上記のような同じ作用メカニズムをもつ薬が次々に出てきたこともあって日本では開発中止になっています。
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SSRIは、かっては、既に述べたように画期的な効果をもち、副作用が少ない薬といわれていました。しかし、その後必ずしもそう言えないことがわかってきました。
効果に関しては三環系抗うつ薬と言われる古いタイプの抗うつ薬と比べてやや弱い傾向が認められているようです。そして、副作用は三環系抗うつ薬よりも弱いようですが、患者さんによっては吐き気、嘔吐、下痢、不眠、不安、焦燥感、憂うつ感、無気力感などの副作用に悩まされることもあります。
また、映画化されたアメリカのコロンバイン高校銃乱射事件の犯人2人や、日本の全日空機ハイジャック事件の犯人がSSRIを服用していたことが話題になったこともありました。これはSSRIのもつ脳の賦活作用が犯人達の攻撃衝動も増大させたのではないかと推察されています。
このように、SSRIのマイナス面が徐々に明らかになってきたのでした。 SSRIや従来の三環系抗うつ薬の問題点については、次の本がわかりやすくかいてあります。
- 「うつ」を克服する最善の方法ー抗うつ薬SSRIに頼らずにいきる
生田 哲 著 (講談社 2005年)
- 薬でうつは治るのか
片田 珠美 著 (洋泉社 2006年)
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| ◇ うつの心理療法 ◇ |
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うつの心理療法
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抗うつ薬と心理療法の効果を比較した研究は多く行われてきました。それによると心理療法は抗うつ薬と同等の有効性を発揮することが示されています。
また、心理療法を単独で、もしくは抗うつ薬と組み合わせて受けている患者さんの方が抗うつ薬による薬物療法のみで、心理療法は一切受けていない患者さんと比べ、うつ状態を再発することもなく、より長く小康状態を保っていることもわかっています。
抗うつ薬は、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質の挙動に影響を与えることによって効果を発揮します。認知行動療法などの心理療法も脳内の神経伝達物質の量に影響を与えている可能性も指摘され始めています。その点からも抗うつ薬の効果をより充分なものにするためには、心理療法も併用することが望ましいと思われます。
このような心理療法と抗うつ薬の関係については、以下の本にていねいに解説してあります。
- いやな気分よ、さようならー自分で学ぶ「抑うつ」克服法(増補改訂第2版)
デビッド D・バーンズ 著 野村総一郎 他 訳(星和書店 2004年)
デビッド D・バーンズ博士は、心理療法のなかの認知療法の第一人者ですが、私達はうつに対しては認知療法または認知行動療法のみを適用するより、他の技法も組み合わせた方がより効果をあげることができると感じています。
抗うつ薬とアイアンドユーでの心理療法を組み合わせて効果をあげ、ついには抗うつ薬も必要としなくなったかたの感想を以下に載せておきます。
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うつでセラピーを受けられた方のご感想
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プライバシー保護のため、一部の事実関係を変更しています。
●40代 女性
私は数年前、うつ病と医者から診断され、薬をずっと飲んできました。少しは絶望感が軽くなりましたが、漠然とした憂うつ感、不安感に悩まされ、頭もあまり働かなくなったことで、職場では閑職に追いやられてしまいました。そんな折り、知人からの紹介でセラピーを受け始めました。一進一退はありましたが、少しずつ気分が軽くなり、職場での仕事の能率もあがるようになりました。現在は薬を飲まなくてもよくなりました。
また、うつ病になった原因の一つに、夫婦の問題や、二人の子どもの問題があったのですが、それらにも前よりうまく対応できるようになりました。自分の調子が良くなっていったのが幸いしたのか、上の子どもは今年、難関の大学に合格しました。
かつては、自分の未来について考える余裕さえなかったのに、今はこれからどうしたいのかを考えられるようになりました。そこで福祉関係の資格をとろうと思い立ち、今は受験準備のため仕事後に予備校に通い、忙しく毎日を過ごしています。
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